Commons:二次的著作物

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この『ミロのヴィーナス』という彫刻の写真は二次的著作物です。幸か不幸か、彫刻を作った人(著作者)は2000年以上前に死んでおり、この像はパブリック・ドメインにあると言えます。つまり、この像に二次的著作物の製作を制限する著作権は存在しません。
ウィキメディア・コモンズにおける二次的著作物の扱い方を単純化したもの。

創作物の多くは別の作品の二次的著作物ですが、多くの場合、様々な理由で著作権は主張されません。写真の場合、こうした例外に当たるのは、対象物が創作物でない、実用的機能を持っている、Freedom of panorama に当たる、フリーライセンスが与えられている、などです。しかし、そうした例外に当たらない場合は、著作権者だけが二次的著作物への許可を与える権利を持っています。彫像の写真、アクションフィギュアの写真、その他の著作物を写した写真はこちらに含まれます。同様の原理は他の作品にも適用されます。自分が読んだ本の映画版を作ることは、二次的著作物を作ることに当たり、原作者の許可なしにはできません。

二次的著作物とは?[edit]

ここでは主に、アメリカにおける扱いを述べます。コモンズはアメリカにサーバーが有る為に、合衆国の法律の作用も受けます。つまり、日本法の下にあるコモンズ・ユーザーも同様の制約を受けると考えられます。

二次的著作物は1976年合衆国著作権法101条において次のように定められています。

二次的著作物とは単数あるいは複数の既存の作品を元にした作品のことで、翻訳、歌劇の脚色、ドラマ化、フィクション化、映像版、音響録音、絵画の複製、抄録、要約、あるいは、改変、変質、改作された作品のあらゆる形態である。編集上の改訂、注釈、推敲、あるいはあらゆる改変を含む作品で、全体として独自の著作物に相当するものを言う。

短く言えば、著作権が主張されうる創造的な作品を、別のメディアに変換したものはすべて、二次的著作物といえますし、改変され新たに作られた創造的な独自の作品もまたすべて二次的著作物といえます。この様な二次的著作物を作ることができる人は1976年合衆国著作権法106条によって以下のように定められています。

著作権保持者はこの権利の元、次のうちどれかにあたる行為を行使あるいは認定する排他的な権利を有する。(中略)(2)著作物に基づいて二次的著作物を準備すること。

完全なコピーや、作品のちょっとした差異(たとえば、まったく同じ内容の違う題を持つ本など)は新たな著作権を発生させませんが、そうではない二次的著作物は、新たな作品のすべての独自の要素に対して著作権を発生させる事になります。たとえば、『ホビット―ゆきてかえりし物語』はダグラス・A・アンダーソンの注釈がついており、アンダーソンに著作権が存在しますが、この本の本文である『ホビットの冒険』にはアンダーソンの著作権は存在しません(この例では日本語訳における訳者の著作権を考慮していません)。『ホビットの冒険』にはトールキンの著作権がまた別に存在します。著作権保持者は、ダース・ベーダーのアクション・フィギュアだろうが、自分の作品の二次的著作物を新たに作る排他的な権利を有しています。この権利はそういった作品の撮影にも言えることです。

なお、日本の法律に関して言えば上記と同じようなことが、著作権法27条 - 28条に当てはまると考えられます。

自分のカメラでオブジェを撮影したので、自分に著作権があります。自分の好きなようにライセンスできないのですか? どうして他の著作者に配慮すべきなのですか?[edit]

あなたが写真を撮ると、あなたは写真という新たな著作物を作り出します。同時に、元々の著作権者の権利はなお存在するとも言えます。その写真を公開する際には、元々の著作権保持者が認めた方法でしか公開できないのです。だれかの著作物をあなたが撮影した写真を、(フェアユースを例外として)元々の著作者が認めない限り、あなたは利用できないのはこういう理由があるからです。

つまり、プーさんのおもちゃを持ってる子供の写真は、ディズニーがプーさんのデザインに著作権を保持しているので私の著作物ではないのですね。[edit]

ちがいます。この場合、ディズニーはその写真の著作権を保持していないといえます。この場合、二つの著作権が同時に存在すると考えてください。写真には写真を撮影した人の、プーさんのおもちゃにはディズニーの著作権が存在し、まったく別のものです。そういった写真をコモンズで使う場合、以下のことを自問してください。「私の写真は『プーさん』のイラストとして使えるのではないか」、「プーさんのおもちゃの写真を使うことで、法的に問題のあるプーさんのイラストの直接利用の代用をしているのではないか」。あなたの中で答えが「イエス」であれば、認められたものではないといえます。

全ての製品には誰かが著作権を持っているのではないですか。自動車は、キッチンの椅子は、あるいは私のコンピューターの筐体はどうでしょう。[edit]

ちがいます。著作権法には実用品については著作権の保護を大幅に制限する特別の規定があります。

改正法の第二の部分は以下のように規定する。

「実用的な物品 [...] の意匠は、そのような意匠が当該物品の実用品としての側面から分離して認識することができ、独立して存在することができる絵画的、図形的または彫刻的な特徴を含む場合に限って、その限度において絵画的、図形的または彫刻的作品であると考えられる。」

「実用的な物品」は「単に物品の外見を表現することや情報を伝達することにとどまらない本質的な実用の機能を有する物品」と定義される。改正法のこの部分は1950年代半ばに連邦最高裁判所のMazer事件における決定を実施するために著作権局規則に追加された文言を受け継いだものである。

この改正文言を採用するにあたって、委員会は著作権の対象となる応用芸術の作品と、著作権の対象とならない工業デザインの作品との間にできる限り明確な境界線を描こうとしている。二次元の絵画、図形またはグラフィック作品は、織物、壁紙、容器といったものに印刷されたり応用されたりした場合にも、なおそのようなものとして認識されうる。これは像や彫刻が工業製品を装飾するために使用される場合や、Mazer事件の場合のように、独立の芸術作品として存在する可能性を失うことなくある製品の中に組み入れられた場合にも同様である。一方で、ある工業製品の形状が十分美的で価値のあるものであるとしても、委員会の意図はそのようなものにこの法案に基づく著作権の保護を与えようというものではない。ある自動車、飛行機、婦人服、フードプロセッサー、テレビジョン受像機、その他の工業製品の形状の中に、物理的または概念的に、当該物品の実用的な側面から分離して認識されうる何らかの要素を含むのでなければ、その意匠はこの法案に基づいて著作権を与えられることはない。分離可能性と「当該物品の実用的側面」からの独立という要件は、意匠の性質に依存しない。すなわち、ある物品の外見が仮に美的な(機能的な、ではなく)考慮の元で決定されたとしても、そのような実用的物品から分離して認識されうる要素のみが、もし何かそういうものがあるなら、著作権を与えられうるのである。また、立体的意匠がそのような要素を含んでいたとしても(例えば椅子の背面の彫刻、あるいは銀食器の花模様の浮き彫り)、著作権の保護は当該要素にのみ及び、そのような実用的物品の全体の形態については及ばない。

コーネル大学ロースクールのUS Code 17 § 102 についてのノート

彫刻や絵画やアクションフィギュアは実用的側面を持っていませんから、一般的に芸術作品として著作権の対象となります。一方で、普通の目覚まし時計、ディナー皿、ゲーム機などの日常的使用のための物品は普通は著作権の対象ではありません。

実用的な物品が著作権の対象であることもありえます(例えば漫画のキャラクターの形をした目覚まし時計を想像してください)が、著作権の対象となる作品とそうでない物品との間に明確な区分はありませんし、また、異なる法域においては別の基準が用いられています。例えばドイツ法にはSchöpfungshöheという用語があり、著作権の保護を受けるために必要な独自性の基準を意味します。多くの法域と同じく、応用芸術の作品が著作権の保護を受けるために必要な独自性の水準は高いものです。この基準について法的な定義は存在しませんから、常識と既存の判例法に頼る必要があります。

実用的物品は一般に、著作権の保護の替わりに、デザイン・パテントによる保護を受けています。デザイン・パテントは、法域によって異なりますが、意匠の商業利用を制限しています。しかしパテント(特許)と著作権は別個の法律分野です。コモンズにアップロードされる作品は、著作権について問題がないことのみを要求されています。パテントは公共の知識であり、パテントを受けた物品の意匠をコモンズで公開することは、それ自体ではパテントの侵害とはなりません。したがって、この種のパテントについてはコモンズにとっての問題とは考えていません。

著作権または商標権によって保護されたキャラクターの衣装を身につけた人々の写真は、一般に、合法的なものと理解されます。Commons:Deletion requests/Images of costumes tagged as copyvios by AnimeFan#Comment by Mike Godwin

文章[edit]

著作権で保護された書籍や記事といったものから文章を複製することは許されません。しかし情報そのものは著作権の対象ではなく、あなた自身の言葉でそれを書き直すことは自由です。引用は、限定的な分量で、引用元を明記する場合には許されます。

地図[edit]

著作権で保護された地図やその一部を複製することは、たとえ地下鉄の路線図のように無料で配布されているものであっても、許されません。情報そのものは保護されておらず、また、現実世界を写したものである以上、ほとんどの地図でほとんどの区域は同じように見えます(例えば道路の配置は同じです)。保護されるのは、地図で用いられている様式、記号、文章です(例えばロンドンの地下鉄路線図)。著作権で保護された地図をベースに使用することはできますが、その上で完全に描き直し、元の地図が認識できないようにしなければなりません。地図を描く際に問題を避けるためには、著作権で保護されていない地図をベース(背景)として使用することをおすすめします。

著作権で保護されている芸術(絵画や彫刻のような)の写真をアップロードできないことは知っています。それではおもちゃはどうですか。おもちゃは芸術ではありませんよ![edit]

法律的にはほとんどのおもちゃは芸術です。彫刻の写真を撮るのもダース・ベーダーの写真を撮るのも同じことなのです。どちらも著作権で保護されており、どちらの場合も、写真の著作権でもってオリジナルの著作権を打ち消すことはできず、そしてどちらの場合も、元の創作者から許諾をえなければなりません。ピカソの彫刻の写真をアップロードしてはならず、ミッキーマウスやポケモンのフィギュアの写真をアップロードしてはならないのです。

数多くの訴訟において、ミッキーマウスやアステリックスは芸術作品として扱われなければならず、すなわち著作権の対象であると判断されています。一方で一般的なスプーンやテーブルは芸術作品ではありません。そういうものでも、デザイナーによって非常に特別な形状が与えられ、芸術作品として(スプーンとしてではなく)提示されたなら、おそらくは著作権の対象になりえますが、あなたが家で使っているものは、多分そうではないでしょう。

しかしウィキメディア・コモンズは商業ではないでしょう! それと、フェアユースはどうなんですか。[edit]

ウィキメディア・コモンズは商業プロジェクトではありませんが、プロジェクト基準では、あらゆる画像は自由なライセンスによって商業的に利用できるものでなければならないと要求されています。すべての画像やメディア・ファイルは、第三者の著作権の対象になっていないものでなければなりません。

フェアユースはコモンズでは認められません。フェアユースはある種の限られた文脈において使用される画像についての難しい法的な例外です。著作権で保護されたマテリアルのデータベース全体については適用されません。

それでは、スター・ウォーズやポケモンのような話題を画像なしでどうやって図解すればいいのですか。[edit]

確かにそのような記事で図解をするのは困難というか、不可能かもしれません。しかしなお、記事を書くことはできます。それらの記事に図解がないことは、ウィキメディアのプロジェクトの活力に何らの影響を与えるものでもなく、第三者の著作権を侵害しない図解を創作する機会のあるトピックは山ほどあります。

ウィキメディアのいくつかのプロジェクトでは、著作権上フリーでない作品(フリーでない作品の二次的作品を含みます)を、フェアユースの規定に基づきローカルにアップロードすることが許されています。それが許される状況は極めて限定されています。フェアユースの主張を行おうとする前に、そのプロジェクトの方針とガイドラインを熟読することが重要です。

そんなの聞いたことがありません。これはある種、創意に富んだ解釈というようなものですか。[edit]

意外かもしれませんが、ちがいます。現代芸術の彫像や絵画といったものの写真はいずれもアップロードしてはならず、人々はこのことを受け入れています。私たちが 漫画のフィギュアやアクション・フィギュアは芸術と認められ、従って著作権によって保護されているという法的なスタンダードを受け入れるとすれば、私たちはそのようなスタンダードをこの場に適用するだけなのです。

ケースブック[edit]

このポリシーは、ウィキメディア・コモンズにおける画像の選定に、どのような影響があるのでしょうか。

  • 漫画のフィギュアやアクション・フィギュア: 写真、絵画、その他これらのものの複製・二次的作品は(元の作品がパブリックドメインにない限り)許されません。人形、アクション・フィギュア、Tシャツ、プリントつきの袋、灰皿など、著作権によって保護されているフィギュア自身からの派生物の写真は許されません。
  • 額縁つきの絵画: パブリックドメインにある絵画は一般に許容されます(Commons:ライセンシングを参照)。額縁は立体的な物体であり、それゆえ写真は著作権の対象になるかもしれません。常に、できる限りにおいて、元の作品の創作者の名前と生死の日付、創作の時期を明らかにすることを忘れないでください。分からない場合は、可能な限りの出典情報(出典へのリンク、公開されている場所等)を提供してください。他のボランティアが著作権の状態を証明することができます。さらに、元の作品の著作者人格権(著作者として名前を表示される権利を含みます)は、一部の国では永久のものです。いずれの場合も二次的作品を作るためには著作者から許可を得る必要があります。彼らの作品を元に、そのような許可なしに作られたあらゆる芸術作品は、法的には元の著作者の所有にかかるライセンスを受けない複写物と解釈されます(他のウェブサイトから持ってくることは、彼らの許可なしには許されません)。
  • 洞窟の壁画: 洞窟の壁は大抵平面ではなく、立体的になっています。骨董品の花瓶やその他のでこぼこした表面についても同じです。これはすなわち、そのような媒体を撮影した写真は、壁画がパブリックドメインにあろうとも、著作権の対象たりうることを意味します(この点についてのケーススタディを探しています)。古いフレスコ画やその他平面に描かれたパブリックドメインの絵画は、平面の芸術作品として複製される限りにおいて、問題ありません。
  • 公共の場所にある建物や芸術作品の写真: これらは二次的著作物ですが、作品が恒久的に設置されており(これは、それがその場にあり続けるべく置かれており、ある期間の後に撤去されることになっていないことを意味します)、かつ一部の国においてはその写真を撮る時にあなたが公共の地面にいたなら、OKということになりそうです。この例外についてあなたの国がリベラルなポリシーを有しているか否かを、Commons:Freedom of panoramaで確かめてください。また、freedom of panoramaについての詳細もそちらをご参照ください。(多くの国で、freedom of panoramaは壁画のような平面の芸術作品までは対象としていないことは要注意です。)
    • 完全な freedom of panorama: オーストラリア、オーストリア、ボリビア、ブラジル、中華人民共和国、カナダ、クロアチア、コロンビア、チェコ共和国、エクアドル、ドイツ、インド、アイルランド、イスラエル、メキシコ、オランダ、ペルー、ポーランド、シンガポール、スウェーデン、スロバキア、スペイン、スイス、トルコ、英国
    • Freedom of panorama が制限つきまたは存在しない: アルメニア*、アゼルバイジャン*、ベラルーシ*、ベルギー、デンマーク**、エストニア*、フィンランド***、フランス、グルジア*、ハンガリー、イタリア、日本***、カザフスタン*、キルギス*、ラトビア*、リトアニア*、モルドバ*、ノルウェー**、パラグアイ*、ルーマニア*、ロシア*、ウズベキスタン*、ウクライナ、米国**
      * これらの国々では freedom of panorama は画像の非商用利用に限られています。
      ** これらの国々では freedom of panorama は建築物に限られており、彫刻やその他の作品には適用されません。
      ***これらの国々では完全な freedom of panorama は建築物に限られており、彫刻やその他の作品の画像は非商用目的にのみ複製できます。
  • 芸術作品の模造品: 忠実な模造品は必要な独自性を欠くため、パブリックドメインにある作品の忠実な模造品、例えばミロのヴィーナスの観光みやげは、新たな著作権の対象となることはありえません。それゆえ、そのような模造品の写真は、作品の実物の写真と全く同じように扱うことができます。
  • 立体物の写真は、被写体自身がパブリックドメインにあろうとも、常に著作権の対象です。あなた自身がその写真を撮ったのでなければ、その写真の著作権の所有者から許可を得る必要があります(もちろん、写真そのものがパブリックドメインにある場合は除きます)。
  • 書籍の中の登場人物や物体や情景は、書籍そのものに対するあらゆる著作権の対象となります。あなたが(『ハリー・ポッター』シリーズの)アルバス・ダンブルドア校長先生の素描を創作し、配布することの自由は、あなたが持っている『ハリー・ポッター』の映画を配布することができる程度が限界になります。


ウェブ・リンク[edit]

ケース・スタディ:
その他の関連サイト: